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ノルアドレナリンとは?ノルアドレナリンはやる気や集中力、うつ病などに関わる神経伝達物質です!


目次
ノルアドレナリンとは?
ノルアドレナリンとは副腎髄質や交感神経末梢から分泌される物質です。ノルエピネフリンやアルテレノールとも呼ばれています。ドーパミンやセロトニンなどと同じ神経伝達物質の一つでもあり、ホルモンの一つでもあります。
ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌されます。交感神経を刺激して、集中力の向上、判断力の向上、身体能力の向上などの作用があります。つまり、やる気、意欲、集中力などを高めてくれる物質ということです。
しかし、これらのようなポジティブな感情に作用することもあれば、「不安」「恐怖」「緊張」「怒り」などのネガティブな感情とも深く関わっており、別名「怒りのホルモン」と呼ばれることもあります。
ルエピネフリン,あるいはアルテレノールともいう。副腎髄質,クロム親和細胞および交感神経細胞から分泌されて,生体内で神経刺激伝達物質として働いているカテコールアミンの一種。副腎髄質ホルモンであるアドレナリンの前駆質でもある。心筋,睾丸および卵巣ではアドレナリンより多く存在する。血中遊離脂肪酸を上昇させるほか,血圧上昇,中枢神経系の刺激などの作用をする。昇圧剤として臨床面で応用されている。
コトバンク:「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 > ノルアドレナリンとは」より引用
アドレナリンとノルアドレナリンの違いとは?
みなさんもアドレナリンという名前は聞いたことありますよね。でも、ノルアドレナリンはあまり聞いたことないはず。この二つは名前が似ていることから「同じような物質なんでしょ?」と思われがち。
しかし、この二つは全く違う物質で生成される場所、作用する場所、反応するストレスの種類などに違いがあります。
アドレナリンとノルアドレナリンは生成される場所が違う
アドレナリンはそのほとんどが副腎髄質で分泌されます。ノルアドレナリンも副腎髄質から分泌されますが、交感神経の末梢からも分泌されます。
アドレナリンとノルアドレナリンは作用する場所が違う
ノルアドレナリンは主に脳の中枢系へ働きます。脳内と交感神経末梢から分泌される物質です。神経伝達物質(俗に脳内ホルモンとも呼ばれる)として私たちの思考や意識を活性化します。(やる気、怒り、イライラ、不安、緊張などに強い影響を与える)
一方でアドレナリンは主に副腎髄質で分泌されますので、肉体への影響がほとんどです。(血管や筋肉などの末梢神経へ強い影響を与える)
覚え方としてはノルアドレナリンは「精神に影響を与える」、アドレナリンは「肉体に影響を与える」と覚えてもらっていいでしょう。
アドレナリンとノルアドレナリンは反応するストレスの種類が違う
ノルアドレナリンもアドレナリンもストレスに反応して分泌されます。しかし、ストレスの種類によってはそれぞれの分泌量が変わります。それは「経験したストレス」と「経験していない未知のストレス」です。
過去に対処できたストレスは負荷の軽いストレスなのでアドレナリンの分泌量が抑えられますが、ノルアドレナリンは分泌されます。しかし、「経験していない未知のストレス」の場合はアドレナリンの分泌量が増えます。例えば、「経験したことのない天災」「強盗に襲われた」などです。
アドレナリンの分泌量が抑えられるのは「肉体に影響を与える」ことが理由の一つです。アドレナリンが分泌されると肉体に強い影響を与え高い身体能力を発揮することができます。その分「負担」が大きいんです。なので、脳が体を壊さないようにアドレナリンの分泌をある程度抑えるようになっているんですね。
ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体
ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体です。前駆体とは簡単に言うと「その物質の原料」です。なので、ノルアドレナリンがアドレナリンの原料ということになります。つまり、「ノルアドレナリンが分泌されないと、アドレナリンは分泌されない」ということになります。
流れとしては、「ノルアドレナリンが精神に強い影響を与える」→「アドレナリンが分泌されて肉体に影響を与える」といった流れになります。
ノルアドレナリンの主な働き
さて、ノルアドレナリンの主な働きについて見ていきましょう!ノルアドレナリンは以下のような働きをしてくれます。
心身を覚醒させる |
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アドレナリンを分泌させる |
消化器官の機能低下 |
ストレスへの対抗力を高める |
痛覚を麻痺させて痛みを感じにくくする |
やる気や意欲を高める |
注意力や集中力、判断力、作業効率を高める |
心拍数や血圧を上昇させる |
興奮状態にする |
ノルアドレナリンにはこれらのような働きがあります。
ノルアドレナリンの効果や作用とは?
ノルアドレナリンの存在意義は元々「生命の危機の回避」にあります。私たちが野生の世界にいた時はいつ命を狙われてもおかしくありませんでした。なので、「生命の危機というストレス」を感じるとノルアドレナリンが分泌されて「集中力」「判断力」「注意力」を向上し逃走か闘争のどちらかを即座に判断して実行する準備をしていたんです。
また、命を狙われるのは起きている時だけとは限りません。昼寝していたり、寝起きのときだって狙われる可能性があります。そんなときでもノルアドレナリンが心拍数や血圧を一気に上昇させ、心身を覚醒させてくれます。
ノルアドレナリンが分泌されている人はリーダーシップがある?
先ほど解説致しましたが、ノルアドレナリンには「集中力」「判断力」「やる気・意欲」などを向上させる働きがあります。なので、これを性格に表すと「集中力がある人」「判断力がある人」「やる気、意欲に満ち溢れている人」ということになります。
つまり、ノルアドレナリンが分泌されている人は「リーダーシップ」のある人ということになります。ノルアドレナリンにはこのように性格を作るような面があることから「性格形成ホルモン」と呼ばれることがあります。
ノルアドレナリンが分泌されるとハイパフォーマンスを発揮できる
ノルアドレナリンは意欲、やる気、集中力、判断力などと深い関わりを持っているのでハイパフォーマンスを発揮するのには必須な物質です。ノルアドレナリンが分泌されることで高い集中力を発揮出来るようになります。
ノルアドレナリンが不足すると?
先ほどは、ノルアドレナリンが分泌されることでの、ポジティブな面について解説致しました。一方でネガティブな側面もあります。ノルアドレナリンが不足すると、「やる気が出ない」「意欲がない」「集中できない」という状況に陥ってしまいます。
うつ病の症状と似ていますよね。でも、実はうつ病患者の方はノルアドレナリンの分泌が少ないというデータもあるようです。
また、ノルアドレナリンが不足すると「ストレスへの対抗力」が弱くなるので、きれやすい、攻撃的な性格になる、細かなことが気になる、パニックになりやすくなるなどの症状も現れてきます。
ノルアドレナリンが過剰に分泌されると?
逆にノルアドレナリンが過剰に分泌されるのも悩むところです。確かに集中力や判断力、やる気などを高めてくれますが、ネガティブな感情も増幅させてしまう恐れがあります。
ノルアドレナリンが必要以上に分泌されることで、神経が高ぶりキレやすくなったり、落ち着きがなくなったりします。
ノルアドレナリンのバランスが崩れると?
つまり、ノルアドレナリンは適度に分泌される状態がベストだということです。過剰に分泌されるのも、不足するのもダメなんですね。厚生労働省による健康情報サイトでも以下のように記載されています。
通常ノルアドレナリンはその人のおかれている状況にあわせてバランスを保ちながら働いていますが、その働きが不均衡になると神経症やパニック障害・うつ病などを引き起こすといわれています。研究が進み、この物質の作用を促進したり、阻害することでこういった精神疾患の治療に高い効果が上がることがわかってきています。
e-ヘルスネット:「厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト」より引用
ノルアドレナリンには抗うつ作用がある
ノルアドレナリンは精神への影響が強いことから、抗うつ作用があると言われています。適度に分泌されることで無気力や気分の落ち込みなどを防ぐことができます。ノルアドレナリンが私たちの「やる気」をうんでくれているんですね。
また、ノルアドレナリンの効果は医療でも着目されているようです。うつ病によってノルアドレナリンの分泌が不足したり、ノルアドレンリンがうまく働かない時に「SNRI」というノルアドレナリンの再取り込み阻害薬が使用されるようです。
