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ノルアドレナリンが分泌されると痛みを感じなくなる!?その理由と仕組みについて解説致します!


目次
ノルアドレナリンとは?
アドレナリンという名前に聞き覚えがある人は多くても、ノルアドレナリンという名前に聞き覚えのある方は少ないと思います。
ノルアドレナリンとは、ドーパミンやセロトニンなどと同じ、神経伝達物質です。また、副腎髄質ホルモンの1つでもあります。
ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌される
ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌されると言われています。また、脳内で分泌され交感神経に作用して心身の覚醒や興奮、集中力や判断力を高めてくれます。
よく聞くアドレナリンは主に肉体に作用して身体能力を向上させてくれます。なので、アドレナリンは「肉体に作用する」、ノルアドレナリンは「精神に作用する」と覚えてもらったら分かりやすいかと思います。
ノルアドレナリンが精神に及ぼす具体的な影響は「やる気」「意欲」「集中力」「判断力」などを向上させてくれることです。よく交通事故に起きる瞬間に「すべてがスローモーションにみえた」とか野球選手がゾーンに入った時に「球が止まって見えた」とか聞きますよね。
これはノルアドレナリンが脳を覚醒させて「集中力」「判断力」等を向上させてくれるおかげです。しかし、これらのようなポジティブな影響だけではありません。ノルアドレナリンは「不安」「恐怖」「緊張」などのネガティブな感情とも深い関わりがあります。
また、ノルアドレナリンは「不安」「恐怖」「緊張」「怒り」などのストレスに反応しやすいことから「怒りのホルモン」とも呼ばれています。
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ワンポイント豆知識!!
- 神経伝達物質とは、脳の中で情報を伝達するために必要な物質の総称です。人間の脳の中にある神経細胞は電気信号を送ることで情報の伝達を行ってます。しかし、神経細胞同士はぴったりとくっついているわけではなく、わずかな隙間があります。その隙間のせいで神経細胞間の情報伝達ができません。その隙間をカバーして、神経細胞間の情報伝達をできるようにしてくれるのが「神経伝達物質」なんです。現在、神経伝達物質は100種類以上あると言われていますが、実際に発見されているのは60種類ぐらいです。セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の総称を「神経伝達物質」と呼んでいます。
ノルアドレナリンにには抗うつ作用がある?
先ほども解説いたしましたが、ノルアドレナリンは「心身の覚醒」「やる気」「意欲」「集中力」などに深く関わっています。そのため、逆にノルアドレナリンが不足してしまうと、「だるい」「やる気が出ない」「集中力がない」状態になってしまうんですね。
実際に、うつ病患者の方はノルアドレナリンの代謝物の減少がみられることから、ノルアドレナリンの分泌が減少することはうつ病に関係していると言われています。
つまり、ノルアドレナリンは私たちが意欲的に活発に生活していくのには欠かせない物質ということになります。
ノルアドレナリンの効果や作用とは?
ノルアドレナリンが私たちに及ぼす影響は様々です。それらを一覧にしてみましたので、一度ご確認ください。
脳の覚醒 |
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心拍数の増加 |
血圧の上昇 |
消化器官の働きを抑制 |
筋肉などの機能の向上 |
瞳孔の拡大 |
鎮痛作用(痛みが感じにくくなる) |
性格形成 |
判断力の向上 |
注意力の向上 |
記憶力の向上 |
ストレスへの順応 |
抗うつ作用 |
ストレスへの耐性 |
先ほども解説致しましたが、ノルアドレナリンの分泌はストレスに反応して起こります。これは野生の名残なんです。どういうことかというと、野生の世界では常に危険が存在しますよね。
危険を感じた時に瞬時に脳や体を覚醒させて、状況を把握し行動することができるための仕組みなんです。現代社会では危険はさほど存在しませんが、ストレスに反応してノルアドレナリンは分泌されます。
生命の危機を回避する
寝起きだからといって、生命の危機に遭遇した時「起きたばっかだから動けない」では話になりませんよね。そんなことでは命を落としてしまいます。
ストレスに反応してノルアドレナリンが分泌されると全身に血が行き渡り、脳や体が瞬時に覚醒します。特に命を守るためには瞬時の判断と集中、高いパフォーマンスが必要なので、脳や筋肉に栄養や酸素を十分に届ける必要がありますので心拍数と血圧が上昇します。
逆に、生命の危機を回避するのに必要ない部分の働きは弱まります。排泄、排尿などの消化器官などの働きは抑制されます。
痛みを感じていたら命を守れない
また、生命の危機に遭遇した時に無傷で終わるとは限りません。敵の攻撃を受けて傷を負うこともあります。しかし、傷を負ったからといってその場に倒れこんでは命が危ないのです。なので、痛覚の働きを鈍らせてあまり痛みを感じないようになります。
さらに、より多くの情報を取り込むために瞳孔が拡大します。このように、ノルアドレナリンが分泌されると生命の危機を回避するのに必要な部分の機能は向上し、必要ない部分の機能は弱わります。
痛みを感じないのはノルアドレナリンのおかげだけじゃない?
ノルアドレナリンが分泌されると痛覚が鈍くなるので痛みをあまり感じなくなります。先ほども解説致しましたが、傷を負っても命を守るための行動をとるためです。
どれくらい痛みを感じないかというと、「喧嘩中にナイフで刺されたけど痛みを感じずに喧嘩を続けた」「試合中に骨折したけど、痛みを感じずプレーを続行した」などというケースもあるようです。
もちろん、どのくらい興奮しているのか、どのくらいノルアドレナリンが分泌されるのかによってで痛みを感じるレベルは変わるので、一概に「痛みを感じなくなります!」とは言えません。
また、先ほどのようなケースでは、もちろんノルアドレナリンの鎮痛作用のおかげでもありますが、それだけじゃないんです。
かなり興奮したような場面ではノルアドレナリンだけではなく、「アドレナリン」や「βエンドルフィン」なども分泌されています。これらの物質にも鎮痛作用がありますので、ノルアドレナリンだけのおかげではないんですね。
これらすべての鎮痛作用が相まって「痛みを感じない」ということが起こります。
ノルアドレナリンの過剰分泌には気をつけろ!
ノルアドレナリンが適度に分泌されれば、普段の仕事、趣味、生活などいろんな場面で良い効果があるでしょう。特に仕事で結果を出したいなんて思いのある方にとってはノルアドレナリンは重要ではないでしょうか?
ノルアドレナリンが分泌されれば頭が冴えて、集中力が向上して、判断力も向上します。仕事で成果を上げるためには必要不可欠な物質であるとも言えるでしょう。
また、ノルアドレナリンが分泌されると、「やる気がある」「意欲的に行動できる」「判断力に優れている」「決断できる」「集中力がある」という状態になるのでリーダーシップを発揮することもできます。
ノルアドレナリンにはこのような効果があるので、別名「性格形成ホルモン」とも呼ばれています。
しかし、ノルアドレナリンの過剰分泌には要注意です。なぜかというと「攻撃的な性格になりキレやすくなる」からです。
ノルアドレナリンは交感神経を強く刺激して攻撃性や恐怖感、不安感を増やす作用があります。なので、必要以上に分泌されると周りの人たちに対してキレやすくなったり、攻撃的になったり、落ち着きがなくなったりします。
長時間強いストレスにさらされるような場合は注意が必要です。自分でストレスがたまっているな、最近イライラするな、って思ったら休息をとってノルアドレナリンの分泌を抑えて自律神経を整えるようにしましょう。
過剰分泌は病気になる可能性も!
ノルアドレナリンには血圧上昇、心拍数の増加などの効果がありますので、過剰で長時間の分泌は血管を傷つけたり、心臓に負担がかかったりします。
その結果、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞等を発症する恐れがあります。また、過剰に分泌されすぎるとノルアドレナリンが枯渇してしまうこともあります。
そうなると、「無気力」「無関心」「うつ病」「PTSD」などになる可能性もあるので注意が必要です。
ノルアドレナリンが不足すると…
逆にノルアドレナリンが不足すると、ストレスに対する抵抗ができなくなってしまいます。その結果、「やる気がない」「意欲がない」「集中できない」などの症状があらわれます。
また、ちょっとしたストレスにも対応できなくなるので、「すぐキレる」「パニックになる」「小さなことがすごくきになる」など症状もあらわれてきます。
これらの症状はうつ病にも似ていますが、実際にうつ病患者はノルアドレナリンの分泌が少ないというデータもあるようです。
ノルアドレナリンが不足するとこれらのようなネガティブ感情を引き起こしますので注意が必要です。
ノルアドレナリンは適度な分泌が大事!
つまり、ノルアドレナリンは適度な分泌が必要なんです。分泌しすぎてもダメですし、不足しすぎてもダメです。また、分泌しすぎるとノルアドレナリンが分泌されなくなるというケースもあります。
その例が「戦争経験者」です。戦争中は強いストレスに常に晒されています。常にノルアドレナリンが分泌されている状態です。戦争から帰ってきた人たち多くが過剰分泌のせいでうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされるそうです。
ストレスの多い現代社会でのノルアドレナリンの役割
現代社会は何かとストレスが多いですよね…仕事のストレスだったり、人間関係のストレスだったり…
今の世の中はノルアドレナリンが分泌されやすい環境であると言っても過言ではないでしょう。休息せずに常にストレスに晒され続けるとノルアドレナリンが枯渇してしまいます。
そうなると、ストレスに抵抗できなくなってしまいます。ノルアドレナリンはあなたが活発に意欲的に活動していくのに欠かせない物質です。
慢性的なストレスを放っておくと、うつ病や無気力など心身に悪い影響が出てきます。自分で「最近ストレスがたまっているな」と感じる場合は休息をとって自律神経を整えましょう。
ノルアドレナリンは三大神経伝達物質
ノルアドレナリンは心身をバランスよく保つために必要不可欠な神経伝達物質です。でも、実は心身をバランスよく保つために必要不可欠な物質はあと二つあります。
それは「セロトニン」と「ドーパミン」です。(ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体)これら3つの神経伝達物質はその重要性から三大神経伝達物質と呼ばれています。
ノルアドレナリンのバランスを保つ方法
ノルアドレナリンのバランスを保つためにはストレスが溜まったら休息をとることが大事です。また、他の三大神経伝達を分泌させる方法を実践するのも効果的です。
セロトニンを増やしてノルアドレナリンの暴走を止めよう!
セロトニンはノルアドレナリンの過剰分泌を抑えてくれます。また、心を落ち着かせる効果もあるので、ストレスへの抵抗力を高めてくれます。
セロトニンを増やすことでノルアドレナリンの過剰分泌を抑えることができるでしょう。
運動してストレスを発散しよう!
運動はストレスを発散させてくれます、ストレスが溜まったなと思ったら、何も考えずに思いっきり体を動かしてストレスを解消しましょう!
しっかり寝て休息を取ろう!
睡眠は心身のバランスを整えるのにとても重要です。また、睡眠不足になるとイライラしてストレスが溜まってしまいます。しっかり寝るように心がけましょう。
睡眠をとる時のコツは「リラックス」です。リラックスしている時は副交感神経が優位になっているので睡眠の質が高まり疲れがよく取れます。
好きな香りのアロマを焚いたり、寝る前に軽くマッサージするなどリラックスできる工夫をすると良いでしょう。
バランスの良い食事を心がけよう!
ノルアドレナリンの原材料は「チロシン」「フェニルアラニン」というアミノ酸です。これらがふくまれている食事をとることでノルアドレナリンの分泌を増やすことが期待できます。
牛乳、大豆(大豆製品)、かつお、しらす干し、小豆、肉類、魚介類など、タンパク質を多く含む食品に豊富に含まれています。これらの食品を意識して食べると良いでしょう。
