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アドレナリンとノルアドレナリンの違いとは?名前は似てても作用する場所や生成される場所が違う


目次
アドレナリンとノルアドレナリンとは?
アドレナリンとノルアドレナリンは名前が似ていることから「同じ物質でしょ?」と思われがち。しかし、これらの物質は名前こそ似ていますが違う物質です。
作用する場所や私たちに与える作用、反応するストレスなどに違いがあります。今回はアドレナリンとノルアドレナリンの違いについて徹底解説致します!!
私たちの身体で生成される場所が違う
アドレナリンとノルアドレナリンは私たちの身体の中で生成される場所に違いがあります。アドレナリンは主に副腎髄質で分泌されます。副腎とはあまり馴染みのない臓器ですが、小さな三角形の形をした臓器です。左右の腎臓の上にある後腹膜腔呼ばれるところにあります。背骨のすぐ近く、心臓のすぐ下ぐらいに位置している臓器です。
アドレナリンが主に副腎髄質で分泌されるのは「フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(PNMT)」という酵素が関係しています。アドレナリンの前駆体であるノルアドレナリンからアドレナリンを合成するにはこの「PNMT」という酵素が必要不可欠なんです。
「PNMT」はそのほとんどが副腎髄質にあるためアドレナリンはそこから分泌されるんです。
一方、ノルアドレナリンは主に中枢神経系の青斑核(せいはんかく)という場所で分泌されます。青斑核もあまり馴染みがないと思いますが、脳幹にある神経核のことです。また、副腎髄質や交感神経末梢からも分泌されます。
私たちに作用する場所や与える作用が違う
アドレナリンとノルアドレナリンは私たちに作用する場所や、与える作用や効果に違いがあります。これは分泌される場所の違いとも関係します。
ノルアドレナリンは中枢神経系でそのほとんどが分泌されることから脳の中枢系での働きが主になります。そのため、「不安」「イライラ」「怒り」「やる気」「悲しみ」などの感情面に強い作用を与えます。(青斑核は覚醒、注意、情動に関与している。)
アドレナリンは主に副腎髄質で分泌され、脳の中枢神経系に入っていくことができないため、脳や感情面への作用はあまりありません。しかし、肉体(血管や筋肉、末梢神経や消化器官など)へ強い作用を与えます。
つまり、ノルアドレナリンは「精神」に強く作用して、アドレナリンは「肉体」へ強く作用するということです。
反応するストレスが違う
アドレナリンとノルアドレナリンでは反応するストレスに違いがあります。これはそれぞれの作用の特徴とも関係しています。
先ほど、アドレナリンは「肉体」への作用が強いことから「肉体的ストレス」に反応して多く分泌されます。例えば、「交通事故に遭いそうになった」とか「不審者にいきなり襲われた」とかですね。このような場合は自分の身を体を使って守る必要があります。
なので、ノルアドレナリンよりもアドレナリンの分泌量が多くなります。アドレナリンの血圧上昇や筋肥大による筋力アップによって、肉体的ストレスを回避するためです。
ノルアドレナリンは「精神」への作用が強いことから「精神的ストレス」に反応して多く分泌されます。例えば、「仕事でミスをして怒られた」とか「恋人と喧嘩した」「大事な会議でプレゼンをしなくてはいけない」などですね。
これらのように、プレッシャーを感じたり、不快感、不安、緊張、悲しみなどの「精神的ストレス」を感じた場合はアドレナリンよりもノルアドレナリンの分泌が多くなります。精神的ストレスに対抗して問題と向き合い解決していくためです。
脳はストレスを学習していく
私たちの脳は一度受けたストレスを記憶し学習していきます。なので、過去に受けたことのあるストレスとそうでない場合はアドレナリンとノルアドレナリンの分泌量が変わってきます。
例えば、一度経験したことのあるストレスに対しては「前回乗り越えたから、今回も大丈夫だろう」や「前回は大変だったけど、まぁ2回目はなんとか対処できるだろう」という風に脳が解釈してアドレナリンの分泌は抑えられます。
しかし、ストレスであることに変わりはないので、対抗するためにノルアドレナリンはしっかり分泌されます。なぜ、ノルアドレナリンは分泌されるのにアドレナリンの分泌が抑えられるのか?それにはある理由があるんです。
アドレナリンは最後の手段!?
過去に経験したことあるストレスに対してアドレナリンの分泌量が抑えられる理由は「身体にかかる負荷」が関係しています。アドレナリンは肉体に作用し、身体能力を向上させることから「体力の消耗」がとても大きいんです。
なので、脳はアドレナリンの不要な分泌を抑えようとします。つまり、私たちの脳はアドレナリンの前駆体であるノルアドレナリンにストレスを学習させてあまり肉体に負担をかけないような仕組みになっているんです。
アドレナリンは「生命の危機」など命を守る時などに分泌される「最後の砦」のような物なんです。「大きな天災が起きた」「家が火事になって逃げなくてはいけない」など、どうしようもない状況や命を守らなくてはいけないような状況の時にアドレナリンは多く分泌されます。
アドレナリンとノルアドレナリンには共通点がある
これまでアドレナリンとノルアドレナリンの違いについて解説してきましたが、この2つには共通点も存在します。
合成経路と前駆体が同じ
ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体ですが、合成経路が同じなので元をたどると同じ前駆体と原料を使っていることになります。2つの物質の合成経路は以下の通りです。
1、フェニルアラニン(必須アミノ酸)
↓
2、チロシン(アミノ酸)
↓
3、Lドーパ
↓
4、ドーパミン(神経伝達物質)
↓
5、ノルアドレナリン(神経伝達物質)
↓
6、アドレナリン(副腎髄質ホルモン)
ノルアドレナリンとアドレナリンはこのような合成経路をたどります。同じ物質が前駆体であり、原料になっていますよね。アドレナリンとノルアドレナリンにはこんな共通点があるんです。
共通する作用がある
アドレナリンとノルアドレナリンには共通の作用も存在します。
鎮痛作用/消化器官の働きを抑制/血圧の上昇/筋肉などの機能の向上/心拍数の増加/脂肪燃焼
この2つの物質にはこのような共通する作用が存在します。いかにそれぞれの物質の作用をまとめましたのでご確認ください。
ノルアドレナリンの作用
脳の覚醒 |
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心拍数の増加 |
血圧の上昇 |
消化器官の働きを抑制 |
筋肉などの機能の向上 |
瞳孔の拡大 |
鎮痛作用(痛みが感じにくくなる) |
性格形成 |
判断力の向上 |
注意力の向上 |
記憶力の向上 |
ストレスへの順応 |
抗うつ作用 |
ストレスへの耐性 |
アドレナリンの作用
血管の拡張 |
---|
気道の拡張 |
心筋の収縮力向上 |
呼吸数増加 |
血流増加 |
筋肥大 |
鎮痛作用(痛みが感じにくくなる) |
血糖値上昇 |
心拍数増加 |
血圧上昇 |
脂肪の分解促進 |
消化機能抑制 |
末梢部分の血管収縮 |
ストレスへの耐性 |
ノルアドレナリンとアドレナリンの過剰分泌には気をつけよう!
アドレナリンとノルアドレナリンは適度な分泌であれば私たちに良い影響を与えてくれます。しかし、過剰な分泌が起こると副作用がデメリットが存在するので注意が必要です。
アドレナリンとノルアドレナリンには血圧上昇の作用があるため、過剰分泌が起きると「動脈硬化」「心筋梗塞」「脳梗塞」などを引き起こす可能性があります。
他にも、「睡眠障害」「免疫力低下」「イライラしやすい」「パニック障害」などを引き起こす可能性も考えられます。
ノルアドレナリンが不足するとうつ病になってしまう
また、ノルアドレナリンはやる気や意欲などとも密接に関係していることから、不足すると「うつ病」「PTSD」「パニック障害」などの精神障害を引き起こす可能性があります。実際にうつ病患者はノルアドレナリンの分泌量が少ないというデータもあるようです。
ノルアドレナリンが不足すると精神的ストレスへの対抗力が弱くなってしまうためです。ちょっとしたストレスにも耐えられなくなり、「常にイライラする」「小さなことがきになる」「落ち着かない」「落ち込みやすい」などの症状があらわれます。
このように、アドレナリンとノルアドレナリンには副作用やデメリットも存在します。過剰分泌や不足には気をつけるようにしましょう。詳しくは以下の記事にまとめていますのでご確認ください。
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